近江の聖徳太子文化、伝承と信仰

聖徳太子ゆかりの地で、聖徳太子が好んだと伝わる舞楽を奉納

「近江の聖徳太子1400年」記念プレイベント~聖徳太子ゆかりの地で、聖徳太子が好んだと伝わる舞楽を奉納~

 

推古天皇の勅命により、聖徳太子が近江に48ヵ寺を建立した際に最後に八幡山に建立した寺院「願成就寺」。太子の誓願が叶ったことからこの寺名がつけられた。聖徳太子が薨去(こうきょ)され1400年。元は八幡山にあった太子ゆかりの地で、太子が好んだと伝わる舞楽を奉納した。

 

舞楽: 蘇莫者(そまくしゃ) 演奏:公益社団法人 南都楽所(なんとがくそ)

※南都楽所は、平安時代からの伝統を継承する雅楽団体。春日大社に事務所を置き、春日若宮おん祭をはじめとする奈良の社寺の祭礼や法要などを中心に活動しており、令和2年4月の法隆寺の聖徳太子1400年御聖諱(ごしょうき)「聖霊会(しょうりょうえ)」舞楽大法要でも演奏している。

 

開催日:令和4年2月23日(祝)

会場:・願成就寺(本堂前)15:30~16:00(近江八幡市小船木町73-1)

主催:聖徳太子1400年 悠久の近江魅力再発見委員会

※滋賀県観光プロモーション「めくるめく歴史絵巻 滋賀・びわ湖」の一環として開催。

 

■テーマの概要と研究動機

 

今年2022年(令和4年)2月22日は、聖徳太子が亡くなられて1400年目の命日です。聖徳太子といえば、誰もが知っている歴史上の偉人。「和を以て貴しとなす」の十七条憲法の制定、「日出ずる処の天子、書を日没するところの天子にいたす、恙なきや」の遣隋使の派遣、「四天王寺/法隆寺などの建立」の仏教の受容など多くの事績を残した人物です。

 

では、その足跡を色濃く残す地がどこでしょうか? 実は、私たちが住むこの近江(滋賀)です。近江は日本で一番、「聖徳太子縁起・伝承」と「聖徳太子開基縁起を持つ寺院・神社」の多い国なのです。伝承によると、聖徳太子は仏教の布教のため、近江に48カ寺建立の誓願をたてられたといいます。その中でも鈴鹿山脈から広がる湖東平野(東近江地域)がとびぬけて色濃く残されています。なぜ近江なのでしょうか? なぜ鈴鹿山麓の湖東平野(東近江地域)に聖徳太子伝承と信仰があるのでしょうか?

 

ただし、近江の聖徳太子は、「聖徳太子信仰」により迎えられた聖徳太子(聖徳太子伝承)です。聖徳太子信仰は、太子の死後間もなく生まれ、鎌倉時代の絶頂を迎えます。聖徳太子を「仏/神」として崇める信仰です。こうした信仰が広まるもとになったのが「聖徳太子伝暦」など多くの伝記類です。奈良・大阪に伝わる聖徳太子像と近江の聖徳太子像とでは、性格が違うようです。これには近江という風土と大きく関係し、近江の聖徳太子が生まれたと思います。近江の風土のもとで人々が創造・伝承し、今も生活の中に溶け込むように生き続ける近江独自の「聖徳太子文化」となったようです。

 

聖徳太子1400年の命日の2022年(令和4年)は、聖徳太子ゆかりの寺院・神社で多くの行事が行われます(秘仏の特別公開や、特別御朱印めぐり、絵伝の公開、聖徳太子伝承巡りなど)。この機会を利用し、近江の聖徳太子文化(伝承・信仰)の地を訪れ、「なぜ近江に聖徳太子信仰・伝承が生まれたのか?」「なぜ人々は聖徳太子に魅了されたのか?」「聖徳太子信仰・伝承から見える近江文化の独自性・特異性とは?」など、近江の文化的大地を潜水夫のごとく深く探索(近江アースダイバー)し、その謎を楽しみながら探求できればと思います。

 

 

 

■聖徳太子ゆかりの寺院神社など

 

・願成就寺 近江八幡市小舟木町

・長命寺 近江八幡市長命寺町

・長光寺 近江八幡市長光寺町

・岩戸山十三仏 近江八幡市安土町内野

・観音正寺 近江八幡市安土町石寺

・善勝寺 東近江市佐野町

・石馬寺 東近江市五個荘石馬寺町

・乾徳寺 東近江市五個荘川並町

・小松寺 東近江市五個荘平阪町

・瓦屋禅寺 東近江市建部瓦屋寺町

・百済寺 東近江市百済寺町

・太郎坊宮 東近江市小脇町

・市神神社 東近江市八日市本町

・金剛定寺 蒲生郡日野町中山

・妙楽寺薬師堂 蒲生郡日野町川原

・正明寺 蒲生郡日野町松尾

・長壽寺 湖南市東寺

・雲冠寺跡の龍王宮 蒲生郡竜王町鏡

・吉祥寺 蒲生郡竜王町岡屋

・竜王観音禅寺 蒲生郡竜王町小口

・敏満寺 犬上郡多賀町敏満寺

・その他

 

■近江の聖徳太子文化の探求ポイント(思いつくままに…)

 

・天台宗寺院と聖徳太子(特に最澄と聖徳太子)

・観音信仰と聖徳太子

・山岳信仰と聖徳太子

・近江の風土と聖徳太子

・太子信仰が浄土信仰(特に親鸞と聖徳太子)

・太子信仰と近江の風習

・その他

 

■近江の聖徳太子文化の探求方法(できれば楽しみながら探求…)

 

・秘仏の特別公開への参加

・絵伝の公開への参加

・聖徳太子伝承巡りへの参加

・展示会への参加

・関連書籍の学習

・講演会への参加

・各自で研究

・グループで研究

・研究成果のまとめ

・その他

 

■参考文献(思いつくまま…)

 

・『大屋徳城著「聖徳太子に対する後世の崇拝と信仰」(『日本仏教史の研究』所収・1953・法蔵館)』

・『小倉豊文著『聖徳太子と聖徳太子信仰』(増訂、1972・綜芸舎)』

・『林幹弥著『太子信仰の研究』(1980・吉川弘文館)』

・『田中嗣人著『聖徳太子信仰の成立』(1983・吉川弘文館)』▽『蒲池勢至編『太子信仰』(1999・雄山閣出版)』

・その他